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太田吉治 インドネシア便り「ロンボク島撮影記」

5月6日(金)晴れ。
インドネシアは雨季から乾季への移行期です。「島」というので屋久島や三宅島のような風景を想像していたのですが、広い畑の向こうにリンジャニ山が見えて蓼科高原に来ているような感じでした。看護師ボランティアの柳澤さんから、ロンボク島は和歌山県とほぼ同じ面積だと聞かされて驚きました Prayaという地区には3軒、Hotelがあります。我々は空港からTaxiで5分のDpraya Hotel(写真・下)に3泊しました。1泊Rb.453,460‐(約4,535円)ひと月約3万円で生活するインドネシアの人々にとって、冷房の効いたホテルは高嶺の花。柳澤さんも「久しぶり嬉しい~!」と歓声をあげていました!
2日目の午前中は、柳澤さんが手洗い推進活動で回っている小学校を下見した後、「一般的な家庭」ということで撮影をお願いした保健局に勤める看護スタッフの方のご自宅を拝見させてもらいます。
 1年生の教室では、先生が「手洗いの歌」を教えて撮影に備えていました。教室での撮影は直射日光とのタタカイです。日が当たっている部分に絞りを合わせれば日陰は真っ暗!逆だと日なたは真っ白に飛んでしまいます。照明を用意するか、陽が射さない時間帯に撮影を済ませるか。今回は照明機材を持って来ていませんので後者を選びました。当日は8:00撮影開始となりました。 
  9:00過ぎには「おやつタイム」になります。発酵大豆を油で揚げたテンペやナシゴレンが出ますが、スプーンやフォークを使わず手で食べるのが普通。「手は洗ったのかなぁ?」と柳澤さんがチェック。(;^ω^) こういう時、ガキ大将と仲良くなっておくと、本番では「手下ども」が撮影に協力的になります!
次に、保健所のスタッフさんのお宅へ向かいました。タクシーから降りて、路地を約30mほど歩いた右側の新築の家がそうだということでした。
休日のお昼は?玄関前のポーチに絨毯を敷いて、みんなで料理を囲んで食べるのだそうです。こちらのお宅でも手で食事を取ります。だから「その前に手は洗ったかなぁ?」と、柳澤さんがチェックを入れる段取りです。
 スタッフさんのお宅には小さい庭があって、女の子は土と木の葉で「おままごと」をしますし、男の子はニワトリを捕まえて遊ぶのだそうです。子供たちと一緒に遊んで、カメラを構えても緊張しないように馴れてもらいます。子供たちの自然な表情を撮るためも下見は重要です。
今日のお昼は、ロンボク料理「プルチンカンクン(plecing kangkung)」をいただきました。プルチンplecingとはロンボク風の辛味ソース。赤唐辛子やニンニクなどをすり潰して作ったトマトベースの「サンバル」です。カンクンkangkungは空芯菜のこと。地元料理を味わっておくのは「ジャーナリスト」の常識です。
 一方、柳澤さんからは取材前に「食事ですが、私の町には観光客が行くようなレストランは1軒のみです。他はコンビニのお弁当になるかと思います。」と連絡を受けていました。全員で短時間に楽しく食事できることは重要です。  
変にケチってお腹を壊したら何にもなりませんから、レストランにしました。運転手さんも入れて6人でRb.322,300‐(3,223円)。
 ちょっと贅沢しましたが、私が新人の頃、先輩から「出張費を浮かそうなどと思うな!足が出てもいいから、その土地の名物料理は食べておけ。そして撮影に活かせ!」と厳しく言われたものでした。
さて、いよいよ柳澤さんの「ロンボク島保健情報」の撮影です。柳澤さんの背後の建物はプスケスマスPuskesmasと呼ばれる市が運営する保健所です。  
 柳澤さんは、①インドネシアは熱帯性気候で気温や湿度が高いので水分はこまめに補給しましょう。ホテルは冷房が良く効いているので体を冷やさないイよう羽織るものを用意しましょう。③ロンボク島は断水することもしばしばなので、ウェットティッシュやハンドサニタイザーを携行すると便利ですと解説しました。日本人観光客向けに日本語でコメントしたわけですが、学生達は撮影前に「これはどういう意味ですか?」と質問して、理解した上で撮影したことは「花まる」でした。
技術的には、背景の保健所から離れた所に立ってもらい、人物にだけピントを合わせて視聴者に柳澤さんをアピールします。3~4m離れた人の声が隣で話しているように聞こえる?ゼンハイザーマイクと小型アンプはロケの必需品ですが、正確に音源を狙わないと返って変な音になってしまいます。そして、背景との明るさのバランスを取り、顔の影を消?すためにレフで光を当てます。HMIという太陽光と同じ色温度のライトがあればより効果的ですが、残念ながらPOLINES(彼らの学校)にはありませんでした。この折り畳み式のレフとマイクとアンプは私の機材です。
 残念ながらこの学校には「ロケをする」という意識がありません。学生達?はTV局でのOJTで経験していましたから、それぞれの役割を機敏にこなします。実は、この学校の放送コースの教官はTV局で働いた経験がありません。それは仕方ないにしても、OJTにも参加しない、研修にも行かないのです。その代わりに私が派遣されているのですが、OJTにも研修にも行かない教官をOJTで経験を積んできた学生達はどう思うでしょうか?それでいて「俺はエライのだ」という態度なのです。「裸の王様」ですね。
撮影後、早速、PCでチェックです。この作業は、各自のスキルを高めるのに一番役立ちます。小さなファインダーで見ていた時はわからなかった欠点が画面に大きく現れますし、ちょっとしたショックがとてもひどい揺れになって再現されます。
 スタジオだったら直ぐ「撮り直す」ことができますが、ロケでは、状況は刻々と変化していきますから、「撮影した時と同じ状況でもう一度」というのはかなり難しい話です。ですから「絶対、次は失敗できない」と、心に刻まれるのです。
今回は、学生たちが活動している部分は写真しかありません。
それもJICAの看護師ボランティアや観光ボランティアが撮影した写真です。
よろしければお送りいたしますので、是非、使ってください。
また、今回学生たちが撮影した映像は、編集してロンボク島の保健局や観光局で使われる予定なのですが
許可が取れたらそれらの画像もお送りしたいと思います。
6月中旬にポストプロダクションとしてナレーション収録を行う予定ですが、
その際に、セカンドバージョンとして西東京TVで使っていただけるような作品も、できたら作りたいと思います。
今回は、とりあえずロンボク島へ行くまでの部分の写真をお送りします。
よろしくお願い致します。
太田吉治より 

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映像制作:オーロラ印刷・西東京シネマ倶楽部